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園長の子育て通信 47 『男は黙って…』

  (2006年3月2日)

 滋賀の幼稚園事件、ビックリすると同時、保育に携わる者として複雑で、深刻な思いです。
 まだ、事件の背景は、断片的にしか報道されてなく、わからないことが多いですが、どんな理由でも、子どもの「いのち」を奪うことは許されません。
 以前、東京文京区でも、同じような事件が起き、その時は、母親同士のつきあいからくる「こころの闇」がクローズアップされました。
 現代の社会は、子育てプレッシャーが強い社会です。
 子育てって、楽しい事もあるけど悲しいこと、辛いこと、うまく行かないで不安になることが一杯なのに、何かうまくいかないと親の能力がないからだという風潮が強くあり、悩みや不安を抱えていても「そんなこともできないの、そんな事もわからないの」と自分が責められそうでついつい口を閉ざしてしまう人も多いと思います。
 子どもが生き生きするためには、まず、大人が大人の世界で生き生きすることが大切なのに、わが子だけの狭い世界に入り込みがちなのが、子育ての世界です。
 「子は親のもの」という感覚は強く、自分が辛いと子どもも辛いと思ってしまう一体同心感覚は、共感能力も高めますが、悪くすると子どもの思いや意思を無視することにもなります。
 それだけに親自身の感覚や価値観が問われるのですが、親も体験しながらおやになるのです。大人自身が他の親との比較でなく、ありのままの自分を自分で受け入れられるようになったら随分、楽になれると思います。
 人は誰もが寂しいと不安になるものです。だから群れたいのだと思います。
 群れる相手がいないと不安は孤独に変わります。
 だけど、自分の心を殺して群れることも辛いのです。
 愚痴を聞きあえる友達、知り合いが一人でもいれば、そして、なによりも、夫婦がそんな関係にあればと思います。
 でも、それがなかなか難しい。私も含めて、(私だけか)家庭に帰ればゆっくりと休みたい、わずらわしいことは避けたいというのも本音。
 「他人と過去は変えることはできないが、自分と未来は変えることができる」というのがカウンセリングの基本理念。
 自分は、家庭、子どもの話をどれだけ、黙って聴いているのだろうか。
 一気に替わるのは難しいけど、無理をせず1日10分は、と決めて「男は黙って、うなづいて」聴ける男性が増えたら、少しは、子育てのものさしが広がると思います。
 大人も子どももストレスをかかえている時代。
 喜んだり、笑いあったりするのと同じぐらい愚痴が言い合える家庭は、必需品。
 夫婦仲良くするために愚痴は、小出しに。
 そのために、聞いて欲しい時には「私の愚痴を聞いて」と言える夫婦、家族関係づくりを大切にしたいものです。

 

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