子育て通信 バックナンバー
   

 

園長の本音トーク 8 「テストの悪夢」

  (2008年11月10日)

 文部科学省が実施した全国学力テスト、2年続けて秋田県は全国トップランクで、さらに改善するために寺田知事や秋田県教育長は、市町村の開示を求め議論を巻き起こしています。
 学校教育には、まるっきり正反対の思い出があります。
 小学校5、6年の時の担任は、テストで100点をとっても「ほめない」先生でした。
 「頭が良いとは、自分が100点取ることでなく、分からなかった子どもに教えて一緒に100点取ることが出来る子だ」と言い、グループ、クラスみんなが100点取ると褒め、一人一人に声をかけてくれる先生でした。
 障害を抱えている子への世話、病気で休んだ子どもへの気配りや「掃除をきれいにしているね」など生活の小さな行為をとても心からほめてくれる先生でした。
 当時30代前半、今で言うイケメンの男の先生で、「点数や成績が全てではないよ」ということを子ども心に刻みました。
 ところが、中学・高校は学校全体が「競争に勝つ」受験戦争の世界。
 1回1回のテストの個人別順位が廊下に貼り出されたり、時には、席順が成績順。
 奮起を促すということでしたが、優越感と劣等感で揺れ動き、友だちの本音も見えにくくなり、小学校とのギャップから悪夢を見ているようで「やる気」は起きませんでした。
 単なる「さぼり」と見られたのでしょう。先生から「向上心」や「挑戦」する意欲のない子どもと言われました。
 本来、勉強もあまり好きではないのでしょう。
 機会あるごとに「自分に負けるな」と言われても、それは建前で、本音は有名大学に何人合格したかを得々と語る学校の雰囲気や成績で人を評価することに馴染みませんでした。
 中学、高校でも、ユニークで個性的な先生がいて楽しい思いでもありますが、「学校とか教育」が、建前と本音を使い分けることへの不信がいっぱいで、その結果、「絶対、教育系の大学は受験しない」という選択をしました。
 今でも、テストの成績が悪くて先生に怒られている夢にうなされることがあります。
 競争は必要だと思いますが、行き過ぎた競争は、心がゆがみ、人の痛みに鈍感になると思います。
 小学校での先生との出会いは、私の人生に決定的な影響を及ぼしました。
 その意味で、学力テスト結果開示よりも、先生たちが一人一人の子どもと
向き合える教育環境や条件をさらに改善することが行政のトップの仕事だと
思うのは私だけでしょうか。

 

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