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園長の本音トーク 9 『叱られるようなことをするのが子どもらしい子どもです!』

  (2008年12月4日)

 
 ここ数年、子育て・育児相談の上位は「子どものしつけ、叱り方」だそうです。
 「やさしく見守ってあげたいのに、どうしても怒ってしまいます」
「言うことをちっとも聞かない。自分勝手な大人になるのではと心配」
「思い通りにならないと、大声で泣いて手がつけられず困っています」(3歳7ヵ月)
 増えている背景には、いつの間にか、子どもは、「明るく元気でハキハキし、聞き分けが良く、友だちと仲良くできる」という理想像が出来、そうでないとダメな子、ダメな子育て、母親失格という家族、社会のプレッシャーがとても強くなっていることがあるように思います。そう言えば、この国の総理大臣も最近の幼稚園PTA大会で「しつけるべきは母親だ」とあいさつしています。

子どもは叱られる権利がある
 思いがけないことをしたり、素直にいいつけを聞かなかったり、汚いことをするのをよろこんだり、泣き虫だったり、汚い言葉を使ったり、忙しい時にかぎって、まとわりついたり。
 なんなのよ!と頭に血がのぼりますが、そうなんです。
だから子どもなんです。叱られるようなことをするのが子ども。
 だから、子どもは、叱られることが権利なのです。
 叱ることは、子どもに心を寄せ、耳を傾け、手をかけ、ふれあう行為です。
 だから、わざと怒られることをして関心や注目を引こうともするのです。
 叱ることはスキンシップ。

どういう叱り方が良いの?
 育児雑誌で叱り方特集をしていますが、保育園での経験も踏まえて、いくつか紹介。
◦ むやみに叱ろう、しつけようとせず、まずは、子どもの気持ちになって振り回されてみる。
◦ 叱り方にメリハリをつける。どうしてもダメというものだけ叱る。
◦ 子どもの成長や発達を理解して叱る。
  上手にできないことや泣くのは当たり前。
 叱ることより真似させたり、一緒にやって出来た時、「上手にできたね」とほめる。
 泣きやんだ時「泣き止んでよかったね」等と成長したい心の育み(はぐくみ)を大事にする。
 その子の年齢、成長、発達で頑張っても出来ないことは叱らない。

◦ しつけ、叩くよりたっぷりの愛情を。
 怒鳴ったり、叩いたりのしつけもありますが、子どもを不安にし、寂しさを広げることが多いようです。
 0歳から小学4年生ぐらいになるまでは、1日1回は抱っこするなどの肌と肌とのふれあい、スキンシップを欠かさない。
 これを続けていれば、叱っても、怒っても子どもは、不安や寂しくならない。
◦ 親のストレス、体調の悪さを子どもに向けないように。
  叱る前に、1・2・3…と5つ数えて息を吐く。
  我慢できなくなった時、子どもから離れてみる。
  家族の誰かに代わってもらう。
  ストレスが溜まってきたら、息抜きをする。自分の好きなことをする。
  少しでも自分1人になれる時間をつくるため家族や地域の子育て機関を利用する。
◦ 行為を叱って、人格は叱らない。
◦ あなたメッセージでなく私メッセージで叱る。
◦ 「ダメ」の禁止言葉でなく、どう行動するのかイメージがある言葉かけで叱る。
  「あんたはなんでダメな子なの!」「何回いったら分かるの」「あんたなんか嫌い」でなく、
  「○○してくれたら、私はうれしいな」
  走るなでなく、「ここに座っていようね」
  いつまで泣いているのでなく「悔しかったのね。少し落ちついたら一緒に遊ぼうね」
などなど。
あっ、書き足りない。でも紙面がない。
書く(言う)のは、簡単。実行となると、ム、ム、ム。
私も、我が子があまりわからないので太平川まで投げに行ったことがありました。
 特に、3歳、4歳の時が頑固、可愛くない。小学生になると「お父さんは自分の意見が絶対正しいと思っているんだから」と反発され続け思春期へ。

 感情的に叱ることは誰にでもあります。
 叱ったり、怒ってしまったことで、自分を責めない。
 大事なことは、叱った後に、叱りすぎたと思ったり、叱らなくても良かったと思った時は、自分が落ちついてから子どもにきちんと謝ることと叱ったから次からちゃんとできるとあまり思わないことではないでしょうか。
 未熟な子どもと宿題の多い大人(親)が、ぶつかり、言い合いながら、気持ちに触れ、だんだん、ジグザグ、時に後戻りしながら、互いにしっかりしていくのではないでしょうか。
 まずは、子どもは、「うるさくって、汚いことが好きで、思いがけない
ことをする」ものだということを出発点にしてみませんか。

 

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