フリー保育士 山崎 留美子
先月から小学校4年生の長男が野球部に入った。一年もかけて反対したのに、「男に生まれたからには野球をしたい!!」の一言で負けた。負けたというよりは、彼の強い決意からは、いよいよ親離れするんだ、という思いを感じた。なんだか、さみしくもあり、頼もしくもあり…。100M走では四年連続ビリっけつ。授業中は居眠り、あくびが当たり前。そのうえ鼻血が大量にでて何度保健室に通ったことか。(…野球なんて出来んのか!? )
不安も山ほどあるが、その勢いに家族中で乗ることにした。気持ちに張りをつけるために、玄関の掃除を彼が担当することにした。すると、小学校2年生の長女も、特別のように声をかけられる長男をみて「お兄ちゃんばっかりズルイ!! 」と、ジョウロを持ってプランターの花たちに水やりを始めた。それに続こうとする次男坊、3歳。
朝から余計な仕事を増やされてはたまらんと、ここでストップをかける。と、同時に怪獣ギャオスに変身して大声で叫ぶ…。この頃は「だめ」とか「まって」の意味が自分にとって不利になることだと分かってきたらしい。すかさず「よし、今お水を持って来るから待ってて!」といってペットボトルの蓋に穴を開け、ペットボトルには水をいれた即席ジョウロを渡す。これならすぐに水はなくならない。朝の忙しい時間に「ママー!水ちょうだい!」と呼び出されることもない。
何しろ、朝は朝・昼・晩三食のご飯づくりをしているので本当に時間との戦いだ。
玄関先でギャオスと戦うよりも、いずれ時間が経って水もしたたるイイ男になった
次男坊に「お手伝い、ありがとー!さっ、あったかいココアあるから入っておいで」と暖かい声をかけたほうが自分にとっても朝から気持ちよく時間を持てる。
毎回、こんな風に朝から過ごせれば素敵なのに。
しかしそんな風に毎日は無理、というのが現状。
実際、今日はいつもよりちょっと余裕!と思ってようやく食卓についても「母さんー、オレの長半そで知らない?」と慌てたようすで長男が走ってくる。「あれにオレの名札がついてたんだよ!」「ほんっとにもぉ!! 」と、物干し竿に走る母と子。ん…、長半そでって何?「長くって、薄くって、半そでみたいに涼しくって…。」と焦って説明する長男。わきで「お兄ちゃんー、置いてくよー」とすっかり準備を整えた長女の声がますます彼を焦らせる。こっちは「またちゃんと物の名前を覚えないで!!」と時間がないっていうのに余計なことにそこで説教を始めてしまう。
ちなみに長半そでとは、長Tシャツのことである。彼はこうやって今まで何となく伝わる方法を自ら考えて使ってきた。しかし、世の中の常用文字にそれはない。困るのは周りだろう。
そんな調子でバタバタと上の子達が行ってしまった後、振り返ると次男坊がウンチと格闘中。お馬さんになって「フンギューーー」と気張っている。便秘の次男坊。うんちをやわらかくするお薬を毎日飲んでいても、たまにスルリといかずに気張ってしまう。本当にかわいそうだと思う。「浣腸、しないでください」と弱々しい声で時折伝えてくる次男坊。そして、「フンギュー」の声。
嵐・嵐・嵐の中での戦い。この嵐が私を強くするのだと思う。野球部としての活動は土日こそ朝から晩まで応援団としてつきっきり。まして声を枯らす日々だろう。健康こそ、エネルギー。しっかり食べて、疲れたらがっちりと休む。それでも足りなければ栄養ドリンク!!
健康であることが幸せ。嵐が心地よいと感じられるようになりたいなぁ。
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